高齢社会での看護業界の人手不足と課題

高齢化に伴い、在宅医療や長期入院などを必要とする患者さんが増えていることから、医療業界ではこれまで以上に多くの看護師を必要としています。しかし看護業界では、人手不足に悩みを抱えるケースは少なくありません。

このきっかけとなったのが、2006年4月に施行された社会保険診療報酬の改訂です。看護師1人当たり7人の患者を担当するという新たな看護体制のおかげで、患者への手厚いケアが可能になりました。しかし、需要が供給を上回る事態を招くことにもつながったのです。看護師不足に伴い一人あたりの業務量が増加。そのため、患者さんに提供するケアの質の低下が懸念されます。病院が患者さんにとって安心できる場所となるためには、看護師の人材確保が重要といえるでしょう。

看護師が人手不足となるのは、業務が多く責任も重いことが関係しています。人の命と関わる医療行為を適切に行うには、相応の経験年数や能力が必要です。しかし経験が浅い看護師では、業務を勤務時間内に終わらせることができずに残業となることが少なくありません。

また、夜勤などの不規則な勤務体系も人手不足の原因となっています。生活リズムが崩れ、プライベートを確保しづらくなったり、睡眠不足から体調を崩したりすることもあります。慢性的な人手不足では十分な休暇をもらうことが難しく、キャリアを積んだ看護師であっても、ハードな職場環境を理由に結婚や出産を機に離職するケースも珍しくありません。看護師不足問題を打開するためには、これらの課題を解決し、看護師が長く勤務できる職場環境を整えることが大切です。